院長ご挨拶 GREETING
六本木ヒルズ桜十字クリニック
院長
吉田 昌
Masashi Yoshida
六本木ヒルズ桜十字クリニックで
健康管理を総合的に考えましょう
六本木ヒルズ桜十字クリニックは全身の検査に対応可能です。業務を大きく分けると「検診・人間ドック」と「保険診療」の両輪になります。現在の日本における健康管理の2大原則と当クリニックの役割の概略について紹介したいと思います。
はじめに:現代における健康管理の2大原則について
健康管理の基本を単純化すると、心筋梗塞・脳卒中予防を念頭にした臓器血流の維持(大血管から微小循環まで)と、癌の早期発見(微小な癌の検出を目指した精密検査を含む)にあります。現代医療の成果として、この二つの分野の根拠が積み重ねられてきたことが挙げられます。「予防効果を期待できる」「これをやればうまくいきそうだ」といったチャレンジも重要ですが、健康管理には、実際に成果が確認できている、外せないポイントがあります。ここでは、検診・人間ドックおよび保険診療に共通して、現在の医療で重要な検査について述べます。
01心筋梗塞・脳卒中予防を念頭にした臓器血流の維持
これには、血圧、脂質代謝と糖質代謝が重要です。日本の現状は、血圧管理は悪い状態と言ってよいでしょう。国際的にみても低い水準にあります。まずは最重要とされる、血圧から説明します。
収縮期血圧が130以上で脳心血管病による死亡のリスクは上昇し、140以上で2倍以上、180以上で3倍以上になると報告されています。高血圧は、心筋梗塞・脳卒中の最大のリスク因子とされているのです。高血圧の有病率は世界全体では人口の25%程度とされていますが、日本の有病率は35%ほどです。そのうち治療を受けている人は60%、治療を受けていても、血圧を140/90mmHg未満にコントロールできている人は50%です。したがって、日本では、高血圧の人のうち、血圧をコントロールできている人は約30%のみであり、高血圧の人の70%が、治療を受けていないか、受けていてもコントロール不良なのです。イギリスでは、高血圧の人が治療を受けている割合は75%、治療を受けている人でコントロールできている人は60%です。米国もおおむねイギリスに近い数字となっていて、いずれも、日本よりもかなり良い数字です。
脂質代謝と糖質代謝も重要です。これらは二つに分けて考える必要があります。たとえば脂質代謝は悪いが、糖質の代謝が悪くない人の場合、食事は(パンではなく)米、間食は小豆―あんこ系を食べると、脂質量を無理なく、大幅に減らすことが可能となるからです。(いわゆる「甘いもの」の中には、脂質を多く含むものと、ほとんど含まないものがありますので、注意が必要です。)検診や検査をうけたら、T-Cho(総コレステロール)、HDL-C(いわゆる善玉コレステロール)、LDL-C(いわゆる悪玉コレステロール)、TG(中性脂肪)で自分の脂質の状況を確認しましょう。同時に血糖値、HbA1cを見ると、糖質の代謝がわかります。
LDL-Cの血中濃度が高くなると、コレステロールが血管に蓄積して血流が悪くなります。心臓の血流が途絶えれば、心筋梗塞、脳の血流が途絶えれば、脳梗塞です。腎臓の血流が悪くなれば慢性腎臓病に悪影響を与えることになるので、全身に問題を及ぼすことになります。LDL-Cの値が高くなるなどの脂質異常症の場合、食事や運動、または薬の内服で基準通りにLDL-Cを下げれば、心筋梗塞はかなり抑制できることがわかっています。一方、糖代謝の悪化(HbA1cの高値)も血流に影響し、脳梗塞・心筋梗塞のリスクが高まります。そればかりか、微小循環の悪化、目の網膜症や腎障害などをきたします。自分の糖代謝を把握して臓器血流を保つことも健康管理上重要です。
LDL-Cやカルシウムなどが動脈に沈着するとプラーク(動脈硬化巣)となり、血流が悪くなります。プラークが破裂すると血栓が形成されて脳梗塞や心筋梗塞の危険が増します。このような動脈硬化巣を画像検査で評価することができます。例えば、脳梗塞のリスク判断としては、頸動脈の超音波検査などでプラークの状態を確認します。心臓に血流を供給する冠動脈はCTにて冠動脈石灰化スコアなどで評価できます。このように超音波検査、CT、MRI検査を行い、脳・心臓や頸動脈の血管の状態を調べることは重要で、必要に応じて専門的医療へ橋渡しを行います。
02縮小治療へつなぐ癌の精密早期診断
癌の発症予防に関しては、限定的ではありますが、一部の臓器と特定の癌では明確な場合があります。例えば胃癌予防としてのピロリ菌の除菌、子宮頸癌予防としてのHPVワクチンの接種です。多くの癌発症に影響を与えるものとしては喫煙があり、煙草を吸わないことや禁煙は多くの癌に対して発症予防効果が示されています。しかしながら、発癌は、臓器や癌の種類も、関与する原因も多岐にわたるため、現実的には早期発見が重要です。従来、早期発見は治療後の生存率に影響を与える因子として重要でした。治療法が多岐にわたる現在は、癌の早期発見は、「どのように治すか」に影響を与える因子でもあります。
例えば、食道・胃・大腸の癌はリンパ節転移がほとんど起こらない時期にみつければ、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療可能です。当クリニックでは、細径・高精細の上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて、経口、経鼻のどちらの内視鏡も行います。鎮静剤を用いて苦痛を軽減した内視鏡も行います。また、上部・下部(大腸)消化管内視鏡検査を1回の検査で連続して行うことも可能です。
膵癌は死亡率の高い疾患ですが、早期診断をすることで治療後の生存率が上がるばかりか、ロボットや腹腔鏡などの低侵襲手術が可能なケースも増えます。このためには、画像診断を行うことが重要で、MRI、CT、超音波検査が重要です。このほか、肺癌、肝癌、腎癌など、多くの癌の早期発見において、画像診断がとても重要です。一方、現代医療においても、癌の早期発見は不完全で困難な場合があります。一人ひとりの状況に向き合って、検討することが求められます。
略歴
- 杏林大学医学部医学科卒業
- 元慶應義塾大学医学部外科スタッフ
- 元University of California, Irvine, USA 研究員
- 元国際医療福祉大学三田病院内視鏡センター 副センター長
- 元国際医療福祉大学病院 外科 教授
- 慶應義塾大学 客員准教授
- Semmelweis University, Budapest, Hungary 客員教授
- 医学博士(平成14年 慶應義塾大学)
- DOCTOR HONORIS CAUSA(名誉博士号), Semmelweis University, Budapest, Hungary (2024年)
- 日本外科学会 指導医・認定医
- 日本消化器外科学会 認定医
- Fellow of American College of Surgeons (FACS)
学会役員など
- 日本創傷治癒学会 元理事長(2021年11月~2025年12月)、現理事
- 日本潰瘍学会 理事
- 日本微小循環学会 理事(2024年2月~)
- International Society for Digestive Surgery (ISDS) 理事(2022年10月~)
- 日本ハンガリーポーランド外科学会 理事
- 日本臨床外科学会 評議員
- 日本ヘリコバクター学会 代議員
- 日本蛍光ガイド手術研究会 代表世話人
- 胃外科・術後障害研究会 元幹事(2002年~2007年)、元世話人(2008年~2025年)
- 日本癌病態治療研究会 元世話人
- Sentinel Node Navigation Surgery 研究会 元世話人
- 「胃癌術後評価を考える」ワーキンググループ 発起人(2024年3月まで)
- Cytoprotection研究会 世話人
- 食道・胃外科フォーラム 幹事
主催学術集会
- 学会会長:第51回日本創傷治癒学会 会長 2021年11月26日~28日
- 学会会長:第53回日本潰瘍学会 会長(GI Week 2026)2026年
- President, The 9th Scientific Meeting of the Japan-Hungary-Poland Surgical Society, March 12-14, 2025
- 研究会当番世話人:第3回日本蛍光ガイド手術研究会 当番世話人 2020年10月16日~17日
- 研究会当番世話人:第37回栃木県緩和ケア研究会 当番世話人 2024年10月14日
- 研究会当番世話人:第43回サイトプロテクション研究会 当番世話人 2025年

