初めての胃カメラで気をつけることは?

胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査

毎年受けている健康診断。年齢が30代後半以上の方は、バリウムを飲んで胃のレントゲン検査を行った経験がある方が多いのではないでしょうか。この検査は「上部消化管X線検査(通称:バリウム検査)」と呼ばれ、国内ではもっともポピュラーな胃がん検診です。

しかし、最近では同じ胃がん検診でも胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査の人気が高まっています。その理由としては、胃の内部を直接観察できるため病気の兆候を見つけやすいことが挙げられます。また、バリウム検査で「再検査」の判定が出てしまった場合は二次検査として胃カメラ検査を受けることになるため、何らかの自覚症状がある方や、過去に胃の病気にかかったことがある方は、胃カメラ検査を受けた方が手間が少なくて済む、ということもあります。

胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査は怖い?

とはいえ、身体の中に機械を入れるというのは誰でも始めは不安を感じるものです。痛そう、苦しそう、何となく怖い…、など胃カメラにマイナスのイメージを持たれている方も多いと思います。そこで、初めて胃カメラ検査を受ける方へ向けて、胃カメラ検査の基本的な知識について説明いたします。

胃カメラ検査とバリウム検査の違い

一般的に胃カメラ検査はバリウム検査の上位互換と言われています。食道・胃・十二指腸の様子を直接観察できるため、病変が見つけやすく、見落としをしづらいためです。その場で内部組織を採取し、良性・悪性の判断のための検査に回す「生検」を行うことも可能です。

さらに、胃潰瘍や胃炎、逆流性食道炎などの病気が見つかった場合、その場で医師が診断をつけ治療に移ることが可能ですので、何度も検査を受ける手間が省けます。また、バリウム検査はレントゲンを使用するため、微量ながら放射線被ばくをしますが、胃カメラ検査は被ばくがないというメリットもあります。

バリウム検査のメリット

では、全てにおいて胃カメラの方が優れているかというと、そういうわけでもありません。一つは検査時間の違いです。バリウム検査は10分程度で終わりますが、胃カメラは検査の説明、局所麻酔など前処置を含め30分は時間がかかります。

続いて挙げられるのは検査費用の違いです。胃カメラを受ける場合、バリウム検査からの切替料として数千円から数万円のオプション料金を支払うことが多いです。まれに会社やご加入の健保組合が受診者に代わって切替料を補助してくれるようなケースもありますが、一般的には自己負担となることが多いようです。

最後は、身体にかかる負担の違いです。バリウム検査もバリウムを飲むため身体への負担はかかりますが、胃カメラは鼻や口から異物(内視鏡)を入れるため、反射反応で苦しい思いをしたり、一種のパニック(脱抑制)に陥るケースもあります。ただし、これらを緩和するための薬(鎮静剤)を使用して検査をできる施設も多いので、不安な方は事前に鎮静剤の使用について相談をしましょう。

ここまで挙げた胃カメラ検査とバリウム検査の違いを踏まえ、どちらの検査を受けるか検討しましょう。

胃カメラ検査を受けられない人

胃カメラ検査は比較的どのような方でも受診することが可能です。しかし、受診施設や医師の判断により検査ができない場合があります。予約時または検査前の診察で確認しましょう。

検査を受けられない可能性のある方

  • 高血圧の方
  • 体重制限に該当する方
  • 妊娠中の方
  • 麻酔薬にアレルギーがある方

胃カメラは口から?鼻から?二種類の検査方法

胃カメラには内視鏡スコープが二種類あり、鼻から挿入するものと、口から挿入するものに分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあり、受診する施設の方針にもよりますので、初めて胃カメラを受ける場合は受診施設に相談したうえで、検査方法を決めましょう。

【経鼻内視鏡の特徴】

  • 経口よりもチューブが細く、不快感や咽頭反射が比較的少ない
  • 鼻腔が狭いと、鼻血が出たり、スコープが通らず経口に切り替える場合がある

【経口内視鏡の特徴】

  • 鎮静剤を使用できる
  • スコープが喉を通るときの苦痛感、咽頭反射が強い
  • 経鼻よりも画質が鮮明(使用機種による) ※診断の質への影響は無い

鎮静剤を使うとどうなる?

胃カメラ検査中に苦しくないよう麻酔を使用したい、と希望される方は多いですが、正確には麻酔処置と鎮静剤は異なるものです。

局所麻酔

ゼリー状やスプレー状の麻酔薬を喉もしくは鼻に塗布し、部分的に感覚を鈍くさせる効果があります。眠くもならないため身体への負担もほとんどかからず、一般的には局所麻酔は胃カメラとセットで行われます。

鎮静剤

経口内視鏡でのみ使用することが可能で、点滴で鎮静剤を投与し、眠ったような状態で検査を受けることができます。胃カメラへの恐怖心が強い方や、初めて経口内視鏡を受ける方におすすめです。検査後も効果が無くなるまで時間がかかるため、当日中は車の運転など高度な集中力を要する行動は避けましょう。なお、費用は始めから検査料金に含まれている施設や、オプション料金がかかる施設など様々です。鎮静剤を使用できない施設もあります。

まとめ

  • 胃カメラ検査はバリウム検査よりも病変の発見や診断の面で優れている
  • 内視鏡スコープは経鼻と経口の2種類があり特徴が異なる
  • 経口内視鏡の場合は鎮静剤を使用できる

※内視鏡スコープや鎮静剤有無は施設の方針により選択できない場合があります