打撲(打ち身)の吐き気は大丈夫?|すぐ病院へ行くべき?応急処置・受診先・回復の流れを解説

打撲後に吐き気がある場合や頭やお腹を打っている場合は、救急受診が必要になることがあります。

打撲は軽い打ち身であれば自宅での安静で回復しますが、頭・腹・胸への打撲や、吐き気・しびれ・発熱・強い腫れを伴う場合は重篤な損傷が隠れている可能性があるため、必要を見極めて医療機関の受診を検討しましょう。このページでは、すぐに救急受診が必要な症状の見分け方から、けがの直後に行う応急処置の基本であるRICE処置・受診科の選び方・回復までの流れを順にまとめています。

INDEX

打撲後の受診の目安

打撲後に吐き気がある場合、打撲した部位によって原因と緊急度が大きく異なります。安静にしても吐き気が10〜15分以上続く、または意識・顔色に変化がある場合は救急を受診しましょう。

頭部打撲後の吐き気

脳震盪(のうしんとう)や頭蓋内出血のサインである可能性があります。頭をぶつけた後に吐き気・嘔吐・頭痛・意識の混濁・記憶の飛びが現れた場合は、すぐに脳神経外科または救急を受診してください。「一時的に気分が悪くなっただけ」と思っていても、数時間後に症状が悪化するケースがあるため、自宅での経過観察は注意が必要です。

腹部打撲後の吐き気

肝臓・脾臓・腎臓などの内臓損傷のサインである可能性があります。強くお腹をぶつけた後に吐き気・腹痛・腹部の膨張感が出た場合は内臓破裂や内出血が疑われるため、ためらわず救急を受診してください。

腕・足の打撲後の吐き気

強い痛みや精神的ショックによる迷走神経反射として起こることが多く、横になって安静にすると改善することがあります。ただし、安静にして10〜15分以内に改善しない場合は整形外科を受診しましょう。意識がぼんやりする・顔色が蒼白になるなど全身状態が悪化する場合は救急を受診してください。

今すぐ救急?それとも整形外科?

救急受診が必要な場合

受傷部位:頭・首

以下の項目に1つでもあてはまる場合は脳や脊髄への損傷が疑われるため、救急を受診してください。

  • 意識がなくなった
  • ぼんやりしている
  • 繰り返し嘔吐する
  • 強い頭痛がだんだん悪化する
  • 記憶が飛んでいる
  • 会話がかみ合わない
  • 手足のしびれ・麻痺がある
  • 瞳孔の大きさが左右で異なる

受傷部位:お腹・胸

下記の症状に当てはまる場合、内臓損傷の可能性があるため救急対応が必要です。

  • 腹痛が強く息をするのも辛い
  • お腹が板のように硬くなっている
  • 顔色が蒼白で脈が速い
  • 血尿・血便が出た
  • 強い腹痛とともに吐き気・嘔吐がある

発熱していて受診を迷う場合

打撲後に発熱がある場合は、以下の2つの可能性が考えられます。

1つは、吸収熱(生理的な反応)です。大きな内出血や血腫が体内で吸収される過程で、37〜38℃程度の微熱が出ることがあります。これは受傷後1〜3日以内に起きる生理的な反応で、血腫が吸収されるにつれて自然に落ち着きます。特別な治療は不要ですが、血腫が大きい場合は医師の確認が望ましいです。

もう1つは、感染・他疾患の合併(要注意)で、 38℃以上の発熱、または受傷から数日経って発熱してきた場合は、打撲とは別の原因を疑う必要があります。具体的には、開放創(皮膚が破れた傷)からの細菌感染、骨折部位の感染、あるいは打撲とは無関係の感染症が同時に起きている可能性があります。この場合は受診が必要です。

受診すべき発熱

  • 38℃以上かつ他の症状(患部の悪化・倦怠感・頭痛など)を伴う場合
  • 受傷から2〜3日以上経ってから発熱してきた(感染が起きている可能性)
  • 発熱とともに患部の痛みが増している・赤みが広がっている(局所感染のサイン)
  • 発熱とともに頭痛・吐き気・意識のぼんやりがある(頭部打撲後の場合は特に要注意)
  • 一度下がった熱がまた上がった

受診する診療科は、受傷部位や状況により異なります。

頭部打撲後の場合 脳神経外科または救急を受診してください。
38.5度以上の発熱がある/倦怠感がある 内科または救急を受診してください。
腕・足・体幹の場合 整形外科を受診しましょう。
患部の赤み・熱感・腫れが広がっている場合 整形外科または外科を受診しましょう。

様子を見てよい発熱

  • 受傷後1〜2日以内に出た微熱(37〜37.5℃程度)
  • 熱以外に新たな症状がない
  • 打撲部位の腫れが徐々に引いており、患部の赤みが広がっていない

子どもが打撲した場合の注意点

子どもの打撲は、症状を正確に伝えられないことと、成長途中の骨・関節の特性から、大人とは異なる注意が必要です。

子どもに特有のリスク

子どもの骨は成長軟骨(骨端線)と呼ばれる部分があり、大人では骨折しない程度の衝撃でも骨端線が損傷することがあります。この損傷はレントゲンでは見つかりにくい場合があり、見た目が普通でも成長に影響する可能性があるため注意が必要です。また、乳幼児・小学校低学年の子どもは「痛い」としか伝えられないことが多く、どこをどの程度打ったか保護者が把握しておくことが重要です。

受診の目安

以下に1つでも当てはまる場合は、小児科または救急を受診してください。

ぐったりしている・機嫌が非常に悪い・ぼんやりしている 救急
頭・首・背中・お腹を打った 救急
泣き止まない、または異常に静かになった 救急または小児科
患部をかばって手足を使わない・歩けない 整形外科
受傷から数時間経っても腫れが引かない・むしろ悪化している 整形外科

子どもは「痛くない」と言っても実際には損傷しているケースがあります。少しでも様子がおかしいと感じたら、迷わず受診することをおすすめします。夜間・休日で整形外科が受診できない場合は、小児科救急または救急外来で対応できます。かかりつけの小児科がある場合は、まず電話で相談するのも一つの方法です。

当日〜翌日中に整形外科・外科を受診してください

受傷部位:腕・足など

  • 患部が明らかに変形している
  • 強い腫れと痛みで体重をかけられない・動かせない

2〜3日様子を見て改善しなければ受診しましょう

軽い打ち身で腫れ・痛みのみであれば自宅で後述する「RICE処置」を行い経過を見て構いません。ただし、2〜3日経っても症状が改善しない、または悪化する場合は整形外科を受診してください。

迷ったときは#7119(救急安心センター)に電話すると、医療専門家に相談できます。

打撲と骨折の見分け方

打撲と骨折は自己判断が難しく、「痛いけど動くから大丈夫」と思っていても骨折していたケースは珍しくありません。以下のポイントが複数当てはまる場合は骨折の可能性が高いため、整形外科を受診してください。

骨折を疑うサイン

  • 患部が明らかに変形している、または不自然な方向に曲がっている
  • 骨の上を直接押すと強い痛みがある(圧痛)
  • 受傷直後から急激に腫れあがった
  • 体重をかけると激痛があり、まったく動かせない
  • 受傷時に「バキッ」「ポキッ」という音や感触があった

打撲と骨折どちらでも起こること

内出血・腫れ・痛みは打撲でも骨折でも現れます。「動かせるから骨折ではない」は誤りで、ひびが入る程度の不全骨折では動かせることもあります。見た目や動作だけでの判断は難しく、確定診断にはレントゲン検査が必要です。

打撲直後にまずやること|RICE処置の手順

救急受診が不要と判断できたら、すぐにRICE処置を開始してください。受傷直後の適切な処置が、その後の回復を大きく左右します。RICE処置とは、腫れ・内出血の拡大を最小限に抑えるための4つのステップです。

R(Rest・安静)

打撲した部位を動かさず安静にします。歩けない・動かすと激痛がある場合は無理に移動しないでください。

I(Ice・冷却)

氷や保冷剤をタオルに包んで患部に当て、15〜20分冷やします。直接皮膚に当てると凍傷になるため、必ずタオルを介してください。受傷後48時間は継続的に冷却することが有効です。

C(Compression・圧迫)

包帯や弾性包帯で患部を適度に圧迫し、内出血・腫れの広がりを抑えます。しびれや変色が出たら圧迫を緩めてください。

E(Elevation・挙上)

患部を心臓より高い位置に置きます。腕や足の打撲では、クッションなどを活用してください。

打撲の検査|何を調べるのか

骨折など合併損傷が疑われる場合、医療機関では以下の検査が行われます。

X線(レントゲン)検査

骨折の有無を確認するための最も基本的な検査です。打撲と思っていても骨折していたケースは珍しくなく、特に高齢者・小児では見逃されやすいため重要な検査です。

超音波(エコー)検査

筋肉内の血腫(血が溜まった状態)や靭帯・腱の損傷を調べるために用いられます。放射線被曝がなく、リアルタイムで組織の状態を観察できるため、整形外科外来でも広く使われています。

CT・MRI検査

頭部打撲で頭蓋内出血・脳挫傷が疑われる場合、腹部打撲で内臓損傷が疑われる場合に行われます。MRIは筋肉・靭帯・軟骨など軟部組織の評価に優れており、スポーツ選手の深部筋損傷の評価にも用いられます。

血液検査

腹部打撲で肝臓・脾臓などの損傷が疑われる際に、肝機能・腎機能・貧血の評価などのために行われます。

打撲の治療方法|軽症から重症まで

打撲の治療は損傷の程度と部位によって異なります。

軽度の打撲の場合

RICE処置のほか、消炎鎮痛剤入りの湿布を貼り、包帯で圧迫固定する保存療法が基本です。多くの場合、1〜2週間程度で症状は改善します。

中等度の打撲(筋肉内に大きな血腫がある)の場合

内出血の自然吸収を待つほか、針で血腫を吸引する処置が行われることもあります。完全回復には数週間〜1〜2か月かかる場合があり、物理療法・運動療法(リハビリテーション)を組み合わせることもあります。

骨折・靭帯断裂・内臓損傷を合併している場合

それぞれの損傷に応じた専門的な治療が必要です。骨折にはギプス固定や手術、内臓損傷には手術・入院管理が必要になることもあります。

打撲後の過ごし方と注意すること

受傷後の過ごし方が回復のスピードに大きく影響します。

受傷後48時間以内

患部を冷やし、安静を保つことが基本です。入浴・サウナ・飲酒・激しい運動など血行を促進する行為は腫れや内出血を悪化させる可能性があるため、痛みや腫れが強い間は避けてください。

受傷後2〜3日以降

医師の指示のもとで温熱療法(湿熱パックや温浴)に切り替えることがありますが、自己判断での切り替えは避け、医師や理学療法士に確認の上行ってください。

スポーツや日常動作への復帰は、医師の許可を得て段階的に行うことが重要です。痛みが引いても筋肉・靭帯の修復が不十分な段階で復帰すると、再受傷や慢性化のリスクが高まります。

湿布・市販薬の使い方

受診するほどではない軽い打撲であれば、市販の湿布や鎮痛薬で対応できます。

湿布の選び方と使い方

市販の湿布には冷感タイプと温感タイプがあります。受傷後48時間以内は炎症を抑えるため冷感タイプ(インドメタシン・ジクロフェナク等の消炎鎮痛成分入り)を使用してください。温感タイプは血行促進作用があるため、受傷直後の使用は腫れや内出血を悪化させる可能性があります。貼る時間は製品の指示に従い、かぶれが出た場合はすぐに使用を中止してください。

市販の鎮痛薬について

痛みが強い場合はロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が有効です。ただし、空腹時の服用は避け、胃腸が弱い方は食後に服用してください。2〜3日使用しても痛みが改善しない場合は受診をおすすめします。

まとめ|打撲したらまず確認すること

打撲後はまず、以下の3点を順に確認してください。

1.今すぐ救急が必要な症状がないか

頭・首への打撲で意識の変化・繰り返す嘔吐・激しい頭痛がある場合、腹部・胸部への打撲で強い腹痛・顔色不良・血尿があれば、すぐに救急を受診してください。

2.RICE処置ができているか

救急受診が不要と判断できたら、安静・冷却・圧迫・挙上の4つを速やかに行います。受傷直後の処置が回復の速さを左右します。

3.受診すべき症状が出ていないか

患部の変形・強い腫れ・しびれがある場合は当日中に整形外科へ。2〜3日経っても改善しない・悪化する場合も受診してください。迷ったときは #7119(救急安心センター)に電話すると医療専門家に相談できます。