肝機能障害

肝機能障害とは

肝機能障害とは、肝臓に何らかの異常が見られる際に幅広く使われる言葉です。健康診断の血液検査など肝機能の数値が基準外を指している際に判定されます。
初期の慢性肝炎は症状が出づらく、悪化するまで放置してしまう方が多くいます。悪化してしまうと、肝硬変、さらに肝不全や肝がんなど命に関わる病気へと発展してしまうため、早期の改善が必要です。

原因

肝機能障害の主な原因は次のようなものがあります。

  • アルコール性肝障害

    長期間にわたる過剰な飲酒により、肝臓に障害が起こります。脂肪肝の原因の一つです。

  • ウイルス性肝炎

    肝臓がウイルスに感染して炎症を起こします。ほとんどがB型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)によるもので、A型、E型を加えた4種類の肝炎ウイルスが存在します。

  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

    脂肪肝の一つで、アルコールやウイルスなどを原因としないものです。脂質異常や糖尿病などの生活習慣病との関連性が高いです。

  • 薬物性肝障害

    薬の副作用によって肝臓に障害が起こる疾患です。

  • 自己免疫性肝炎

    何らかの免疫異常により、自身の肝細胞を破壊してしまう疾患です。中年以降の女性に多く発症するとされています。

検査方法

AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞で、γ-GTP は胆管でつくられる酵素です。肝臓でアミノ酸の代謝にかかわる働きをしています。肝細胞が破壊されると血液中に放出されるため、その量によって肝機能が正常かどうかを調べることができます。

  • AST(GOT):7~38 IU/L  / ALT(GPT):4~44 IU/L

    高値の場合:脂肪肝、アルコール性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がんなどが疑われます。

  • γ-GTP:男性:80 IU/L以下・女性:30 IU/L以下

    高値の場合:慢性肝炎、急性肝炎、肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、薬剤性肝障害、胆道系疾患など疑われます。

  • 肝炎ウイルス検査

    HBs抗原検査:HBVに感染しているかがわかります。
    HBs抗体検査:HBVに対する免疫有無が確認できます。
    HCV抗体検査:値が高いと現在の感染、値が低いと過去の感染が疑われます。

  • 腹部超音波(エコー)検査

    腹部表面を超音波の探触子でなぞり、内臓に反射して返ってくる超音波をとらえて内臓の状態を画像として映し出す検査法です。肝臓の脂肪蓄積の状態、慢性肝炎と肝硬変の鑑別、肝がんの有無などが確認できます。

治療

脂肪肝やアルコール性肝障害の治療は、体重を減らしたり、アルコールの摂取量を減らすなど、生活習慣の改善によって比較的簡単に症状の改善が期待できます。
必要に応じて、肝機能改善、発がん抑制のため投薬治療も行います。
B型・C型肝炎であればインターフェロンなどによる抗ウイルス治療が行われます。放置すると肝がんが発生する可能性があるので、治療後も定期的に検査を受けることが重要です。

予防

肝臓病の予防には、アルコールを適量にとどめ、栄養のバランスがとれた食事を習慣づけることが大切です。

  • 節酒する
  • 肥満を解消する
  • 余分な薬・食品添加物を避ける
  • 食事はバランスよく食べ、食後30分間は安静にする
  • 十分な休息と睡眠をとる
  • 禁煙する

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