社会保険に加入していれば健康診断は無料?補助制度と費用負担のしくみを解説

社会保険に加入している場合、「会社の健康診断は無料なの?」「扶養家族も受けられる?」「国民健康保険の場合はどうなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実際には、健康診断の費用負担や補助の仕組みは、加入している保険制度や勤務先の制度によって異なります。本記事では、社会保険加入者が利用できる健康診断の制度や費用の仕組みについて分かりやすく解説します。

そもそも社会保険と健康診断は別の制度

社会保険とは、病気・けが・老後・失業などの際に給付を受けるための公的保険制度の総称です。医療費の自己負担を3割に抑えてくれる「健康保険」も社会保険の一つです。一方、健康診断は疾病の予防・早期発見を目的とした検査であり、健康保険(公的医療保険)の給付対象外となっています1)

健康診断に健康保険が使えないのはなぜ?

健康保険は、あくまで「治療」に対して適用される制度です。健康診断・人間ドックは病気の治療ではなく予防・検査を目的とするため、費用は原則として全額自己負担となります。

同様の理由から、健康診断の費用は医療費控除の対象にもなりません。ただし、検査の結果、疾患または疾患疑いが見つかった場合は話が変わります。

病気が見つかった場合は保険が使える

健康診断・人間ドックの結果、疾病または疾病の疑いが発見された場合は、その後の精密検査・治療にかかる費用に健康保険を適用することができます。さらにこの場合、健康診断の受診費用自体も医療費控除の計算対象に含めることが可能です1)

健康診断は、今の体の状態を知り、未来の健康を守るための大切な“気づきの場”です。社会保険との関係は少し複雑ですが、仕組みを理解すると、より前向きに活用できるようになります。

まず、健康診断は健康保険とは別の制度で、予防を目的としているため保険は使えません。会社員の方が無料で受けられるのは、企業が従業員の健康を守るために費用を負担しているからです。

ただ、最も大切なのは「費用」よりも、健康診断が病気の早期発見につながる大きなチャンスだということ。もし異常が見つかれば、その後の検査や治療には保険が適用され、早めの対応ができます。また、この場合は診断費用が医療費控除の対象になることもあります。

健康診断は、あなたの体からの小さなサインを受け取る大切な時間です。ぜひ前向きに活用し、日々の健康づくりにつなげてほしいと思います。

―監修者コメント

社会保険加入者が使える健康診断の補助制度

社会保険(健康保険)に加入していると、加入している健康保険組合や共済組合などから、健康診断・人間ドックの費用補助を受けられる場合があります。

健康保険組合の補助制度

会社員が加入する健康保険組合(組合健保・協会けんぽなど)では、被保険者(本人)に対して人間ドックや健康診断の費用の一部を補助するサービスを設けているところが多くあります。補助額・対象の検査項目・利用条件は組合ごとに異なるため、加入中の健康保険組合のホームページや、勤務先の総務・人事担当者に確認しましょう。

たとえば、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「生活習慣病予防健診」では、一般健診の自己負担額は約5,000〜7,000円程度に設定されています(年度により変動)2)。また、健康保険組合によっては、人間ドック費用のうち2〜3万円程度を補助する制度を設けているところもあります。

補助額や利用回数(年1回までなど)、指定医療機関の有無といった条件は組合ごとに異なるため、事前確認が重要です。

特定健診(メタボ健診)は原則無料または低額で受けられる

40〜74歳の医療保険加入者を対象に実施されている「特定健康診査(特定健診)」は、生活習慣病の予防を目的とした公的健診制度です。実施主体は各医療保険者(健康保険組合・全国健康保険協会・市区町村など)で、全ての医療保険加入者が受診することができます。多くの場合、自己負担は無料または数百〜2,000円程度に抑えられています3)

会社員本人だけでなく、被扶養者(配偶者など)も対象となるため、「社会保険に入っていれば無料で受けられる健診がある」という認識は、この特定健診を指しているケースが少なくありません。

対象年齢や実施方法は加入している保険者によって異なるため、案内通知やホームページで確認してみましょう。

東京桜十字の特定健診についてのページはこちら

https://www.sakurajyuji-healthcare.jp/health-checkup/health-guidance/

会社が実施する定期健康診断(労働安全衛生法)

常時使用する従業員に対し、会社(事業主)は年1回以上の定期健康診断を実施する義務を負っています(労働安全衛生法第66条)4)。この場合、受診費用は会社負担が原則です。ただし、法定外のオプション検査や、会社の設定したコース条件に合わない検査を希望した場合は、自己負担が発生することがあります。

パートタイム・アルバイトの方でも、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば、定期健康診断の対象となります4)

加入保険の種類補助の主な窓口補助の有無
社会保険(組合健保・協会けんぽ)各健康保険組合・会社の人事部組合により異なる(有が多い)
扶養家族(被扶養者)被保険者が加入する健保組合自治体により異なる
扶養家族(被扶養者)被保険者が加入する健保組合組合により異なる

会社の健康診断はなぜ無料で受けられる?

会社で実施される健康診断の費用は、原則として会社が負担します。これは、労働安全衛生法により事業者に対して労働者への健康診断の実施が義務付けられているためです。そのため、多くの場合、従業員は自己負担なく健康診断を受けることができます。

国民健康保険・扶養家族の場合はどうなる?

お住まいの市区町村によっては、国民健康保険に加入している方を対象に、健康診断・人間ドックの受診に補助金を出している場合があります。補助金額・対象年齢・対象となる検査項目の条件は自治体ごとに異なります。詳細はお住まいの市区町村のホームページや窓口でご確認ください。

住民健診(健康増進事業)について

社会保険・国民健康保険の加入区分にかかわらず、お住まいの市区町村では「住民健診」と呼ばれる健康診査を実施しています。これは健康増進法第17条・第19条の2に基づき、市区町村が住民の健康増進を目的として行う事業です5)

対象となる主な健診・検診は以下のとおりです。

  • 特定健診の対象外となる39歳以下・75歳以上の方への健康診査
  • 歯周疾患検診・骨粗鬆症検診・肝炎ウイルス検診
  • 胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん検診(40歳以上を基本対象)

自己負担額や対象年齢は市区町村によって異なりますが、無料または低額で受診できるケースが多くあります。会社の健康診断や特定健診の対象外となる方でも、住民健診を活用することで定期的な健康チェックが可能です。

受診の案内は自治体から郵送されることが多いため、届いていない場合はお住まいの市区町村の窓口やホームページで確認してみましょう。

東京桜十字の住民健診についてのページはこちら

https://www.sakurajyuji-healthcare.jp/health-checkup/citizen/

扶養家族(被扶養者)

会社員(被保険者)の扶養に入っている家族(被扶養者)は、被保険者が加入する健康保険組合の補助制度を利用できる場合があります。配偶者や子どもが対象となるケースもありますが、こちらも組合によって条件が異なります。

パートタイムで働いており、自身が社会保険の被扶養者の要件を満たす範囲で働いている方も、同様に被保険者の属する健康保険組合の補助制度を確認してみることをおすすめします。

退職後(任意継続・国民健康保険加入)の場合

会社を退職すると、原則として会社の健康保険から脱退します。

その後は、

  1. 健康保険の任意継続被保険者になる
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 家族の扶養に入る

といった選択肢があります。

任意継続や国民健康保険に加入した場合でも、特定健診の対象であれば低額または無料で受診できるケースがあります。ただし、会社が実施する定期健康診断は対象外となるため、自ら申し込みが必要です。

退職直後は制度変更に気づかず健診を受けそびれるケースも多いため、保険切り替え時には健診制度もあわせて確認しておきましょう。

自費でも健康診断・人間ドックを受ける価値はある

補助制度の対象外であっても、健康診断・人間ドックを自費で受診することは将来の医療費や健康リスクの軽減につながります。

民間保険の割引サービスも活用を

加入している生命保険や医療保険によっては、健康診断・人間ドックの受診結果に応じて保険料の割引を受けられる場合があります。詳細はご加入の保険会社にご確認ください。

健康診断の補助制度は少し複雑に感じますが、どの制度も“あなたの健康を守るため”に用意されています。社会保険に加入している方は、健康保険組合の補助で人間ドックが数万円割引になることもあり、特に特定健診は40〜74歳なら無料または低額で受けられる心強い制度です。

また、会社の定期健康診断が無料なのは、法律で企業に実施が義務付けられているため。働き方に関わらず、多くの方が対象になります。国民健康保険の方や扶養家族の方にも、自治体や健保組合による補助が用意されている場合があります。

大切なのは、「自分はどの制度を使えるのか」を知ること。制度を理解することで、健康診断はもっと身近で前向きなものになります。未来の自分のために、ぜひ上手に活用していきましょう。

― 監修者コメント

まとめ:補助制度を確認して、受診の第一歩を踏み出そう

健康診断・人間ドックと社会保険(健康保険)の関係を整理してみましょう。

  • 社会保険に加入しているだけで健康診断が無料になるわけではない
  • 健康診断の費用は原則、健康保険の適用外(全額自己負担)
  • 疾患が見つかった場合は、以降の精密検査・治療に健康保険が適用される
  • 社会保険(健康保険組合)・国民健康保険・自治体などの補助制度を活用できる場合がある
  • 会社の定期健康診断は労働安全衛生法に基づき会社負担が原則(パート・アルバイトも条件次第で対象)

まずはご自身が加入している健康保険組合や自治体の補助制度を確認し、活用できる制度を見つけることが大切です。

東京桜十字の健康診断・人間ドックについてはこちら

https://www.sakurajyuji-healthcare.jp/health-checkup/

参考文献・出典

1)e-Gov法令検索「健康保険法」第63条
https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070#Mp-Ch_4-Se_2-Ss_1

2)全国健康保険協会(協会けんぽ)「生活習慣病予防健診等・特定健康診査のご案内」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat405/sbb3105/info220129/

3)e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第66条
https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057#Mp-Ch_7-At_66-Pr_1

4)厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161103.html

5)厚生労働省「健診・保健指導のあり方」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu/index.html

監修・執筆情報

監修:桜十字グループ予防医療事業本部 VIP専任シニアマネージャー 石﨑竜太郎
執筆:メディカルトリビューン編集部